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まだおべつおラジオ

日々小実験

『初恋』

監督 塙幸成

(あらすじ)
 みすず(宮﨑あおいさん)は父が死に母が兄といっしょに出て行ってしまったためおばの家で暮らす高校生。おば一家に冷たくされ孤独な高校生活を送っている。兄にもらったマッチを頼りにジャズ喫茶に行き、兄を含めた若者たちと出会う。折からの学生運動に若者たちは巻き込まれ、機動隊員からリンチまがいの暴力を受ける。仲間たちから少し距離を置いていた岸(小出恵介さん)は権力と戦うためにみすずに三億円を強奪する計画を持ちかける。岸とみすずは入念に計画を立て、強奪に成功するが……

 

 三億円事件というと、年齢がほとんどばれるが生まれた頃に近い。
 時効を迎えた当時、大きなニュースになっていたことを思い出す。
 警官のモンタージュ写真が有名だが、あの犯人が女の子だというトリックである。
 ただ、この映画のテーマは三億円事件自体より、仲間との出会いと別れであり、だから事件は比較的あっけなく成功する。
 孤独なみすずが兄を含めた仲間たちと出会い、別れ、成長していく話だ。
 この映画ではいわゆる「大人」の顔はバイク屋(藤村俊二さん)以外徹底的に排除されている。
 おば一家では娘だけが写され、現金輸送車に乗っていた人たち、政治家である岸の親の秘書、機動隊員も身体と声だけで存在している。
 少年、少女の王国には大人は入る資格はない。
 しかし、みな年をとって大人になっていく。
 大人になれない者は死んでいくか消え去るしかないのだ。

 

初恋

初恋

 

 

 

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『騎士団長殺し』

あらすじ
「私」は肖像画の画家。妻と別れ、肖像画を描くことをやめ、友人の父で高名な日本画家である雨田具彦が小田原でアトリエとして使っていた一軒家に住むことになった。谷を隔てた豪邸に住む「免色」さんから法外な価格で肖像画を描いてほしいという依頼を受ける。家の屋根裏部屋である雨田具彦の『騎士団長殺し』という未発表の絵を発見する。家の裏の祠から鈴の音が聞こえてくる。祠のそばの石が置かれた地面を重機で掘り返すとそこには何のために作られたかわからない、円形の石室があった。そしてイデアである騎士団長が現れて……

 

 ほとんど一気に読み干した。
 いつもの村上春樹だったなあ、というのが感想です。

  • 『ねじ巻き鳥クロニクル』の井戸と類似した『雑木林の中の穴』。
  • オーストリア併合(アンシェルス)や南京大虐殺といった歴史の挿入は『ねじ巻き鳥』のノモンハンと似ている。
  • 自動車への愛と憎しみ。プリウスジャガーやスバル・フォレスター
  • おいしそうな料理。こんなかんたんに書かれているのにおいしそうなのはなぜだ。

夕食にはソーセージとキャベツを茹でたものに、マカロニを入れて食べた。トマトとアボカドと玉葱のサラダも食べた。(p202)

 「私」が痛めつけられながら再生、成長していく物語。
 もちろん面白いのだけれど、長編を出すたびにぐいぐいと小説の可能性を広げてきたことを考えると、少し物足りないような気がした。
 いつもの手駒を使ってきたかなあ、という感じ。

 しかしこれはたぶんきちんと読めていないからで、再読すると違って見える部分があるのだろう。

 今までそうやって村上春樹の小説と向かい合ってきたのだから。

 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

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ザ・コンサルタント

(あらすじ)

 クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレックさん)は高機能自閉症の子供で、光や音などに過敏に反応してしまう。
 成長した現在は田舎で会計事務所を開いている。
 だが、裏稼業でマフィアっぽい人のマネーロンダリングやらをやっているらしい。
 さて、クリスチャンはある大企業の社長から経理に問題があるようなので調査してほしいと言われる。
 問題を発見したのは会社の経理担当のデイナ(アナ・ケンドリックさん)。
 クリスチャンは過去15年の資料を一晩で読み解いて不正があったことを見抜き、社長にその旨を報告した。
 その晩会社のCEOが、悪い人たちに自殺を余儀なくされ、クリスチャンは社長から翌日調査打ち切りを伝えられる。
 そして悪い人たちは今度はクリスチャンとデイナを殺しにやってくる。
 クリスチャンの超絶戦闘能力および正確無比な射撃によりデイナを救うのだが……

 これとは別に財務省の女性調査官によりクリスチャンの全貌が明らかになっていくと別の筋があり、あらすじ書きが下手な私にはひじょうにたいへんな映画。
 
 さて、この映画についてはタイトルすら全然知らなかったんだけれど、ライムスター宇多丸さんが「週刊映画時評 ムービーウォッチメン」で好意的に取り上げていたのを聞いて、見に行こうと思った。

www.tbsradio.jp

 念のため、当日「物語る亀」さんで確認したら、ちょっとだめかも、という評価で、ああどうしよう『マリアンヌ』の方がいいのだろうかとも思ったりしたのだが、あんまり重い映画を見に行く気分ではなく、結局見ることに。

blog.monogatarukame.net

 以下ネタバレ。
 

 クリスチャンと悪い人のリーダーが最後に直接対決するのだが、それは10年ぶりに会った弟だった、しかも最終的に素手で殴り合いわだかまりが解ける、と言う部分は若干あきれた。
 偶然の出会いを全否定するわけじゃないけど、もっと早く弟だってことには気づけただろ!と思ったり。
 だけどそれ以外はほぼ面白かった。
 クリスチャンがうまく人とコミュニケーションできない部分がほほえましくていい。
 そんなにうまくコミュニケーションが取れなくても、その取れなさがかえってユーモアになっていて肯定的に描かれているのには共感できた。
 あと、以前私も少しだけ経理関係にからむような仕事をしていたことがあったので、調査にあたって15年分の資料を用意しておいてくれ、というのはあるあると思ったり。
 ガリレオ(湯川教授)みたいに窓ガラスに数字を書き込んでいって一晩で金の流れを突き止めるところとかかっこいい。

 アナさんはかわいい。

 物語る亀さんの言うとおり、脚本がすべてのピースがかちりとうまくはまっているかというと、微妙だと思う。
 だけど小説でも映画でも力業で強引にまとめに行く話っていうのが好きで、その例で思い出すのは園子温さんの『愛のむきだし』だけれども、破綻している話でもとにかく終わりまでもっていくのは単にすごいなあ、と思ってしまった。
 もう一回見てもいいかな、と私は思いました。

本とカフェ

 今朝「dマガジン」で雑誌を見ていたら、Hanako(No.1127)は「本とカフェ」が特集記事だった。

気になる本を小脇に抱え、居心地のいいカフェでゆっくり過ごしてみるのはどうでしょう。

 いいですね。
 図書館で本を読むのも少し飽きてきていたので、さっそく乗っかって行くことにした。
 なじみのカフェなんてないから、まずは入りやすい近くのドトールから。
 心配性の私はドトール行くにも下調べは欠かせない。
 ドトールバリューカードを作るのかお得らしい、との情報を得た。
 100円ごとに1ポイントがたまるし、チャージするごとにもポイントがたまるって。

ドトール バリューカード


 お店に入ったらまずカードを作成。
 カード購入の手数料は300円なのだが、ポイントが300円分付くので実質無料。
 ミラノサンド(C)とカフェモカを注文して本を読むことにした。
 

 ぜいたくな読書タイム。
『時間と自由意志』という本を持ち込んだのだが、難解すぎて全く頭に入らず、周りの女性たちの声につい耳が行ってしまうのだった。
 結局、カフェでHanakoの「本とカフェ」を読むこととなりました。

 今度はもう少し軽い本を持ち込もう。

 

Hanako (ハナコ) 2017年 2月23日号 No.1127[本とカフェ。]

Hanako (ハナコ) 2017年 2月23日号 No.1127[本とカフェ。]

 

 

 

時間と自由意志:自由は存在するか (単行本)

時間と自由意志:自由は存在するか (単行本)

 

 

 

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上司トランプ

 トランプ大統領がいろいろやっている。
 やっていることの是非や人柄とかをすべてかっこに入れてしまって、
 こんな上司がいたらどうかと考えてみる。
 意外と似たような上司っているのではないか。
 着任早々、過去からの慣例などを「素人目線」で洗い直す。
「なんでこうなの?」といちいち訊く。
 根本的なところから些末なことまで付いてくるので仕事が回らなくなる。
 部下はまいったなあと思う。
 しかし自分が漠然とやっていた仕事の意味とかを改めて理解したりする。
 いい意味で引っかき回す上司は部下の仕事に対する見方を変えてくれる。
 そういう上司はめんどくさいが、きらいではない。

 言うまでもなく、そもそもアメリカの大統領は企業の係長とかとはかなり違う。
 影響を与えるのが人権やら戦争の話なので同一視をするつもりもない。
 直接の上司がトランプだったらパワハラとかもすごそうだ。
 おまえは首だって言われちゃいそうだし。
 政策もやり方も気にくわない。
 よくできる上司は「素人目線」で見ることができるが、トランプさんは素人だし。
 だが、わーっと言うだけ言って批判を何とも思わないトランプさんのタフさには、線の細い私は少しあこがれてしまうのだった。

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パウロ 十字架の使徒

青野太潮 岩波新書
 

 パウロといえば確かキリスト教の基礎を作った人ということは知っていた。
 世界で初めて目から鱗が落ちた人として有名。
 しかしそれしか知らない。
 どんな人なのかわからなかったので読んでみた。
 第一章はパウロの生涯、第二章は手紙の概略が書かれている。
 パウロは生前のイエスに出会っていない。
 最初はキリスト教を迫害していたが、「回心」してイエス・キリストの福音を宣教した。
 この伝道旅行は総距離およそ2万キロだそうだ。
 すごい。
 最終的にユダヤ人に捕まってしまいローマに護送されて処刑されてしまったらしい。

 とてもおもしろくなるのは第三章「十字架の神学」第四章「パウロの思想と現代」。
 イエス・キリストの「意味」についてよく聞くのが次のような話。

今日のキリスト教会においては、贖罪としてのイエスの十字架こそが決定的なのだ、それなくしてはキリスト教の独自性は失われてしまう、と考えられている。(略)
イエスが十字架上で流した血を「究極の代償」として理解する「イエスの贖罪」という捉え方は、ユダヤ教における伝統的な贖罪論の延長線上にある。イエスはわれわれ人間の罪を贖うために、自ら「生け贄」となって神の前に立ち、その犠牲的な「死」によって神に義とされたのだという捉え方である。ここで重要なのは「イエスの贖罪」という捉え方には、イエスは何もかもすべてを見通した上で自ら粛々と死の道に就いた、という理解が含まれている。(p178)

  イエスは人間の罪を贖うために自ら生け贄になって、復活して、というストーリーにひっかかりがあった。というより意味がわからなかった。

「イエスは何もかもすべてを見通した上で自ら粛々と死の道に就いた」ならば、すべて演技だったことになる。
 死んでも復活するもんねーと言いつつ十字架に架けられたのか。
 そのような「演技」から信仰が生まれるものだろうか?というのが私にとっての違和感だった。
 しかし、そうではない、と青野さんは(そしてパウロは)言う。
 そもそも、イエスは粛々と死の道に就いたわけではなかった。

さて、第六刻(正午)になると全地を闇が襲い、第九刻(午後三時)におよんだ。そして第九刻に、イエスは大声で叫んだ、「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」。これは訳せば、わが神、わが神、どうして私をお見棄てになったのか、という意味である。すると、傍らに立っていた者のうち何人かが、これを聞いて言い出した。「見ろ、エリヤを呼んでいるぞ」。そこである者が走ってゆき、海綿を酢で一杯にした後、葦[の先]につけ、彼に飲まそうとして言った。「エリヤがこいつを降ろしにやってくるかどうか、見てやろうではないか」。しかしイエスは大声を放って息絶えた。(マルコによる福音書15章33-37節)(p112)

  実に無残に人間らしく死んだのだ。

 その後復活する「強いキリスト」ではなく、十字架上で無残に刑死したイエスに踏みとどまるのだ、と青野さんは言う。

無残な姿をさらし続けるイエス・キリストとともに、十字架を担い続けていくこと。自らの力に頼り、自らの業績を頼みに生きる「強い」生き方ではなく、イエスとともに、そしてこの世の苦難を強いられている人たちとともに十字架を担い続ける「弱い」生き方の中にこそ、本当の意味での「強さ」が、そして「救い」が逆説的に存在する。「イエスの十字架」以外は誇らないと語るパウロは、苦難の多い道かもしれないが、そうした逆説的な生を選び取ろうではないか、とわれわれに訴えているのである。(p158)

  腑に落ちるものである。

 価値を転倒させるというのが文学のひとつの役割だとすると、キリストの刑死は宗教的というより文学的な事件であった。

 今さら気づいたけど。

 

パウロ 十字架の使徒 (岩波新書)

パウロ 十字架の使徒 (岩波新書)

 

 

インプット・インプット・インプット

 先日読んだ池上彰さんと佐藤優さんの本にさっさと影響されたので、2月1日を待って電子版の新聞を取ることにした。

 

matubetuo.hatenablog.com

  申込み月が1ヶ月分無料だから、1日に入るのである。せこいが。

 そもそも読売新聞をとっているので、もう一紙をどうするかだが、おふたりのアドバイスにしたがって朝日新聞デジタルに入った。

池上 どちらかに偏るのは避けて、「1紙は保守系、もう1紙はリベラル系」というように、論調の異なる新聞を2つ読むようにしたいですね。新聞にはそれぞれ「独自のクセ」がありますが、1紙しか読んでいないと、そのクセを自覚しなくなってしまうので。

佐藤 (略)『朝日新聞』の論調は、好き嫌いがはっきり分かれますが、国会議員や官僚といったパワーエリートが好んで読み、その影響下にあるのは紛れもない事実です。(略)

  日経や朝日を電子版で読んでいたこともあった

 

matubetuo.hatenablog.com

 が、日経読んでたときはまさにこのような結果だったし。

池上 それと一つ注意したいのが、若手ビジネスパーソンや就職活動を始めた大学生が陥りがちな『日本経済新聞』の罠です。向上心の高い若者ほど、いきなり『日本経済新聞』を読もうとして挫折してしまうんですよ。そもそも日ごろから一般紙を読んでいない人がいきなり『日本経済新聞』を読もうとしても、これはハードルが高すぎます。

 若者ではないが。
 

 ついでに読売も電子版(読売プレミアム)に入ってみたが、朝日に比べると使い勝手は劣る。
 夕刊は紙面イメージで読めないみたいだし。
 非常に安い(月プラス150円)けど。
 

 念のため、おふたりがチェックしているウォール・ストリート・ジャーナルはどんなものかな、とサイトを見てみるとウィンターキャンペーンだそうで3ヶ月100円で購読ができるらしい。WSJ


 さすがに通常価格で三紙は取れないが3ヶ月100円ならということでこちらも登録。
 これで戦力はそろった。
 あとは使いこなすだけだ!
 

 まあ、これが最大の問題なわけだが。