読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

まだおべつおラジオ

日々小実験

『柴田さんと高橋さんの小説の読み方書き方訳し方』

『柴田さんと高橋さんの小説の読み方書き方訳し方』柴田元幸 高橋源一郎(河出書房新社) 柴田さんと高橋さんの対談集と聞いたらそれは読まずにいられまい。 柴田さんが大学までそんなに小説を読んでいなかった、という話に驚き、高橋さんが大江健三郎のこと…

『できそこないの男たち』

『できそこないの男たち』福岡伸一(光文社新書) けっこうショッキングな本でした。 この本は生物の基本仕様は女性であって、男性は必要上その基本仕様をカスタマイズされたものである、ということを説明する。 これまで見てきたとおり、生物の基本仕様(デ…

『幕末史』

『幕末史』半藤一利(新潮社) 歴史について語る本についてはどんなものだってバイアスがかかっているのに違いありません。 語るという行為はたぶんどうしようもなく好き嫌いを現してしまうのです。 したがって、その語りを受け取る側もひょっとしたら違うぞ…

『現実入門』

『現実入門』穂村弘(光文社文庫) この本については前からおもしろそうだなと思っていました。 なんといっても、わたしじしんが現実から逃避したままこの年までやってきてしまった、というふうにいつも思い続けていたからです。 そう、私は経験値が低い。「…

『短歌の友人』

『短歌の友人』穂村弘(河出書房新社) 高橋源一郎『大人にはわからない日本文学史』で面白そうに紹介されていたので手に取りました。 これは面白い。 恥ずかしながら私は短歌にはあまり触れたことがありません。 『サラダ記念日』がせいぜいなくらい。 丸谷…

『人間の未来―ヘーゲル哲学と現代資本主義』

『人間の未来―ヘーゲル哲学と現代資本主義』竹田青嗣(ちくま新書) ほとんどの人に何の自慢にも聞こえないのだろうが、竹田青嗣の本はかなり読んでいます。 しかしながら、ここのところまともに本を読める能力をほとんど失っており、この本についてもきちん…

『大人にはわからない日本文学史』

『大人にはわからない日本文学史』高橋源一郎(岩波書店) わかったことは明治から始まった近代日本文学というものが終わり、いままったく違う新しい時代が始まろうとしている、ということ。 新しい時代がどんなものになるのかはわからない。 文学についての…

『代表的日本人』など

何冊か本を読みました。 ①松岡正剛『連塾・方法日本1神仏たちの秘密―日本の面影の源流を解く―』(春秋社) ②保阪正康『若い人に語る戦争と日本人』(ちくまプリマ―新書) ③内村鑑三『代表的日本人』(岩波文庫) ①は例によって松岡さんの博識ぶりに圧倒され…

『サブリミナル・インパクト――情動と潜在認知の現代』

『サブリミナル・インパクト――情動と潜在認知の現代』下条信輔(ちくま新書) 知覚心理学者である下条さんの本は以前『サブリミナル・マインド』(中公新書)を読んだことがあり、刺激を受けた。 例によって詳しいことは忘れちゃったのだけれど、逆さメガネ…

『夫婦善哉』

『夫婦善哉』織田作之助(新潮文庫) 織田作之助は今までまったく読む機会がなかった。 なんとなく坂口安吾と同じ系統でちょい下くらいのイメージを勝手に作っていたのだ。 無頼派、というひとくくり。 読まず嫌いはよくない。 面白いなあ。 素晴らしい短篇…

『寂聴と磨く「源氏力」全五十四帖一気読み』

『寂聴と磨く「源氏力」全五十四帖一気読み』「百万人の源氏物語」委員会 編(集英社新書) 源氏物語はいつか読みたいと思って、最初は谷崎訳を購入したが挫折。 次に与謝野晶子訳を購入したがやはりだめ。 あらすじ本的なものを何冊か読んで準備したことも…

『ビジネスに「戦略」なんていらない』

『ビジネスに「戦略」なんていらない』平川克美(洋泉社新書) 以前『株式会社という病』を読んで、とてもよかったので、この本を読んでみた。 これまたよい。 会社でなぜ働くのか。 働くためのモチベーションがなぜ生まれるのか。 そんなことをぼちぼちいつ…

『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』

『悪魔の涎・追い求める男他八篇』コルタサル 木村榮一訳(岩波文庫) コルタサルは『石蹴り遊び』を集英社文庫で持っているのだが、手つかずのまま十年以上が経過した。 むずかしそうなんだ。 最近のマイ「ラテンアメリカ文学」ブームに乗って、短篇集を読…

『ナイン・ストーリーズ』

『ナイン・ストーリーズ』J.D.サリンジャー 柴田元幸訳(ヴィレッジブックス) 学生の頃、野崎孝訳の『ナイン・ストーリーズ』を読んだことを覚えているが、小説の内容よりも、読んでいた情景ばかりが思い出される。 学校から帰る夕方の電車の中で座って読ん…

『この世の王国』

『この世の王国』アレホ・カルペンティエル(水声社) 作者のことはまるで知らなかったが、『文学全集を立ち上げる』(丸谷才一など)で評価が高かったこともあり読んでみた。 カルペンティエルはキューバの小説家。 この小説はハイチの歴史を舞台とした小説…

『族長の秋』

『族長の秋』ガルシア=マルケス 皷直訳(集英社) この本はたしか高校生のときに図書館で借りて読んだ記憶があるのだが、きちんと読んだ、という記憶がない。 ただ、すごいぞすごいぞ、と思いながら読んだことを覚えている。 今回読み返してみたら感想は、…

『いつかソウル・トレインに乗る日まで』

『いつかソウル・トレインに乗る日まで』高橋源一郎(集英社) 高橋源一郎の新刊。全然出たことを知らなかったので、あわてて入手。 装丁はかっこいい。 帯には「著者初の、そして最後の超純愛小説。」と書いてある。 『ノルウェイの森』の帯は「100パーセン…

『エマ』

『エマ』ジェーン・オースティン 工藤政司訳(岩波文庫) 主人公のエマのことがとにかく好きになれなかったのだが、倉橋由美子や丸谷才一やらがオースティンのことを誉めていたから、きっとどこかで私もエマのことが好きになるのだろう、と思いつつ読んだけ…

『あたりまえのこと』

『あたりまえのこと』倉橋由美子(朝日文庫) 倉橋由美子が小説について書いているということを知ったのでこの本を手に入れた。 厳しいです。 金井美恵子よりもストレートにばっさばっさと切り捨てる。 解説で豊崎由美さんが引用しているけれど、『ノルウェ…

『フリアとシナリオライター』

『フリアとシナリオライター』マリオ・バルガス=リョサ 野谷文昭訳(国書刊行会) とにかくおもしろくて、ひたすら読んだ。 ラテンアメリカ文学といえば、ガルシア=マルケスなどのこってり風味の難解さがまず連想され、バルガス=リョサも同じかな、と思っ…

『西瓜糖の日々』

『西瓜糖の日々』R・ブローディガン(河出文庫) 不思議な感じだけれど、懐かしい世界を描写した小説。 詩みたい。 読むとっかかりがないとうまくはいっていけなかったので、柴田元幸の解説を読んだら、ある程度合点がいった。 もっというなら、これはほとん…

『たしアナベル・リイ総毛だちつ身まかりつ』

『たしアナベル・リイ総毛だちつ身まかりつ』大江健三郎(新潮社) 続いて大江健三郎の小説で、買ったまま積んであったこの本を読んだ。 『さようなら、私の本よ!』に較べると小振りな小説だが、もちろん語り口はいつもと同じ私小説に似せたもので、読む快…

『さようなら、私の本よ!』

『さようなら、私の本よ!』大江健三郎(講談社) 大江健三郎は『ピンチランナー調書』を高校を中退してぶらぶらしているときに読んでから、新刊が出るたびに買って読み続けてきた小説家だ(ただし小説に限る)。 この本も三年前にすぐ買ったのに、まったく…

『オン・ザ・ロード』を読む

『オン・ザ・ロード』ケルアック 青山南訳(河出書房新社) 昔、河出文庫でまったく読めなかった。 豊崎由美さんが新しく出た青山訳を絶賛していたので手に入れて読んでみた。 すっごくおもしろい。 車でアメリカを何度も何度も横断する話。それだけなのに。…

『グレート・ギャツビー』を読む

『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳(中央公論新社) 村上春樹が訳したこの本を買ってから随分たつが、ようやく読み終わった。 たしか新潮文庫で『華麗なるギャツビー』というタイトルで出ているときに読んだ。 もうずっとず…

『名文を書かない文章講座』を読む

『名文を書かない文章講座』村田喜代子(朝日文庫) わたしは村田喜代子の小説を読んだことがないのだけれど、ぱらぱらと立ち読みしていたらおもしろそうだったので手に入れた。 だいたいわたしは『文章読本』的なものが好きなのだ。 斉藤美奈子の『文章読本…

『ロング・グッドバイ』を読む

『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳(早川書房) 『長いお別れ』は清水俊二訳のハヤカワ文庫で大昔に読んだ。 フィリップ・マーロウかっこいい、という記憶しかなくて、どういう筋だったかほとんどおぼえていなかった。 ギムレット…

『ねじまき鳥クロニクル』を読む

『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹(新潮社) 精神的にも肉体的にもにっちもさっちもいかない状況で、いつか読み直そうと思っていたこの本を久し振りに読んだ。 たぶん通して読んだのは出版されてすぐに読んで以来だと思う。 最初に読んだときは、あまりに物…

『ティファニーで朝食を』を読む

『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 村上春樹訳(新潮社) 『ティファニーで朝食を』の映画はたぶん見ているのだろうが、例によってあまりはっきりおぼえていない。 「ムーンリバー」だけ別の機会に聴いているだけなのかもしれないが。 ホリー…

『井戸』を読む

『井戸』オネッティ(集英社「ラテンアメリカの文学」5巻所収) 1984年10月15日第1刷発行と書かれた「ラテンアメリカの文学 5」の『はかない人生/井戸/ハコボと他者』については、もう15年くらい前に友人の引っ越しを手伝ったときに不要だから…

『木曜日だった男』を読む

『木曜日だった男 一つの悪夢』チェスタトン 南條竹則訳(光文社古典新訳文庫) チェスタトンというとブラウン神父シリーズだが、いちおうこの小説も推理小説に入るのだろうか。 無政府主義結社を摘発するために無政府主義者に扮して侵入した詩人である刑事…

『性的唯幻論序説』を読む

『性的唯幻論序説 改訂版 「やられる」セックスはもういらない』岸田秀(文春文庫) 岸田秀の本はけっこう読んでいるはずで、『ものぐさ精神分析』はおもしろかったと記憶している。 おそらく本書の改訂前、文春新書から出たものも読んだような気がするのだ…

ソローキンのどうしようもない小説

あいかわらずまともに本が読めず、こまったものだと思う。 読みたい気持ちはあるのだけれど、本に向かっていく気持ちが弱い。 とりあえず『考える人』2007春号の特集「短篇小説を読もう」の中で、豊崎由美さんが紹介していたウラジミール・ソローキンの『真…

不調の備忘録

本がまともに読めなくなって何ヶ月も経ち、このブログも基本的にあまり手をつけられないでいます。 集中力や持続力は読書にはそれなりに必要なのでしょうが、自覚できるほどにそれがなくなっていました。 ほとんど病気の状態です。 それでもぽつりぽつり本は…

『シェイクスピアのたくらみ』を読む

『シェイクスピアのたくらみ』喜志哲雄(岩波新書) シェイクスピアをきちんと読んだりしたことはないように思う。 『ハムレット』は読んだような気もするが、『ロミオとジュリエット』や『マクベス』といった有名どころはたぶん読んでいないし、芝居も見て…

『海に住む少女』を読んだ

『海に住む少女』シュペルヴィエル(光文社古典新訳文庫) シュペルヴィエルの名前を知ったのは大岡信と谷川俊太郎の『対談現代詩入門』(思潮社)の中で、若い頃の両詩人が影響を受けた、というのを読んだからだった。 詩集を手に入れようと思ったのだけれ…

本の備忘録

『不可能性の時代』大澤真幸(岩波新書)『衆生の倫理』石川忠司(ちくま新書) 『不可能性の時代』を読んだ。 コンパクトな新書なのだが、情報量が圧倒的で参りました。 今回は、読んだ、と言うことだけ書いておきます。 示唆されることが多すぎる。 読み終…

『灯台守の話』を読む

『灯台守の話』ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳(白水社) BSブックレビューで紹介されていて手に取った小説。 物語についての物語。 孤児になった少女シルバーが灯台守の老人ピューに引き取られる。 ピューはシルバーに物語を語る。 その物語が百…

『中原昌也作業日誌2004-2007』を読むべきである

『中原昌也作業日誌2004-2007』中原昌也(boid) 中原昌也が雑誌に連載していた日記。 日記といえば永井荷風の『断腸亭日乗』やら大岡昇平の『成城だより』やら高橋源一郎の『追憶の一九八九年』などを読んできた。 特に高橋源一郎の日記はおもしろ…

『キャラクターメーカー』を読む

『キャラクターメーカー』大塚英志(アスキー新書) 大塚英志の本はいろいろ読んできた。 この本はマンガやライトノベルの「キャラクター」をどうやって作ればいいか、ということを理論と実践(ワークショップ)を繰り返して教えてくれる本だ。 いっぽうで、…

『あまりにも騒がしい孤独』を読む

『あまりにも騒がしい孤独』ボフミル・フラバル(松籟社) Amazonで本をあれこれ探していたら、たまたま行き当たって手に入れた本。 チェコの作家というとカフカくらいしか知らなかったが、タイトルが気に入ったので読んでみた。 本についての小説であり、ま…

『フロイト思想を読む』で生きる原理についておもう

『フロイト思想を読む』竹田青嗣・山竹伸二(NHKブックス) フロイトは興味があり、『夢判断』や『精神分析入門』、それに解説書もいろいろ読んだがいまいち腑に落ちなかった。 そのフロイトをを竹田青嗣が解説してくれそう、というので読んでみた。 読ん…

詩を読むこと

ここのところ、詩を読んでいる。 『戦後名詩選Ⅰ、Ⅱ』というのを中心にして、うちにあるいくつかのほこりをかぶった詩集を読んでいる。 詩をこの年齢になるまで読めないでいた。 読み方がわからなかったのだ。 詩集があるとして、それを頭から順番にきっちり…

『蝶のゆくえ』を読んでほかのものが読めなくなる

『蝶のゆくえ』橋本治(集英社文庫) 高橋源一郎がすごいと言っていた橋本治の短篇集が文庫になったのでさっそく読んだ。 すごい。 特に最初に置かれている『ふらんだーすの犬』。 児童虐待の話を、子供の側から書いている。 救いも何もない話。 徹底的なリ…

『詩人・評論家・作家のための言語論』を読む

『詩人・評論家・作家のための言語論』吉本隆明(メタローグ) 荒川洋治の『文芸時評という感想』でこの本について書かれていたので読むことにした。 以前、吉本隆明の『言語にとって美とはなにか』を読んでみたが挫折したのだが、それにつながるもので、「…

『日記をつける』を読み、日記欲が湧く

『日記をつける』荒川洋治(岩波アクティブ新書) マイブーム荒川洋治の本だったので、とりあえず読んでみた。 日記についてはあまり興味がない。 子供のころなんども「三日坊主」でやめたから、もう書かないと決めたのだ。 ブログは続いているけれど、日記…

『詩とことば』で詩に興味を持つ

「詩とことば」荒川洋治(岩波書店) ぼくは詩が読めない。 読もうとするのだが、なにか違和感があって、結局うまくいかない。 とくに現代詩、という世界にはなにか必要とすべきものがありそうな気がするのだが、どうしても入り込めない。 すばらしい散文(…

『文芸時評という感想』の感想

『文芸時評という感想』荒川洋治(四月社) 高橋源一郎が『ニッポンの小説』でこの本から長々と引用しており、いつか読みたいと思っていた。 このあいだ読んだ加藤典洋の『言語表現法講義』でも荒川洋治に言及されていたので、ようやく手に取った。 よかった…

『肉体の悪魔』に驚愕する

『肉体の悪魔』ラディゲ 中条省平訳(光文社文庫) この本も再読だが、前に読んだときは確か新潮文庫で読んだ気がする。それも高校生の頃だ。 物語の筋書きだけを取り出せば、凡庸きわまりないものです。早熟な少年が、人妻に恋をし、その夫が戦争に行ってい…

『予告された殺人の記録』に引き込まれる

『予告された殺人の記録』G・ガルシア=マルケス 野谷文昭訳(新潮文庫) この本も再読。だけど、かなり読み飛ばしたんだなあ。まるで覚えていませんでした。 自分が殺される日、サンティアゴ・ナサールは、司教が船で着くのを待つために、朝、五時半に起き…