読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

まだおべつおラジオ

日々小実験

『となりのカフカ』でカフカを好きになる

『となりのカフカ池内紀集英社新書)  聞いたことのあるタイトルだな、と思って考えていて、ひとつはとうぜん『海辺のカフカ』なのだが、もうひとつは『となりのトトロ』だったのね。  この本はカフカについて知るための「初級クラス」の本だという。しかし、密度が濃くて、じゅうぶんにカフカのことを知ることができる。  カフカって、小説を読んで感じるよりずっとまともな、しかもふつうの人だったのだなあ、と思う。いろいろ悩んでいるし。  カフカはとても優秀なサラリーマンだった。保険会社に勤めていて、よくしごとができた。  カフカは父親とうまくいかなかった。  カフカはオートバイやら機械が大好きだった。  カフカ健康ランドに行っては恋に落ちていた。  カフカは好きになった女性に、しつこく手紙を書きまくった。まるでストーカーのように。なんで返事をくれないのだ、とまで手紙を書いて。  カフカは意外と遊び人だった。  カフカユダヤ人だったが、ちょうどユダヤというものがヨーロッパで特異に見られる直前に生きていた。  カフカは終生独身だったが、女性とはけっこうつき合ったし、婚約もしたりはした。破棄したけど。小説を書きたかったから結婚を選べなかった。  カフカは日記に小説の断片を書いた。  この本を読み終わると、完全にカフカのことが好きになった。  似ているなあ、文学的な情熱と才能を除けば。あと、優秀なサラリーマンであるところも違うか。  厳密に言うとみな違う。  だけど、ある意味とても現代的な男だったのだ。  カフカより長生きしてしまったよ。 カフカ
となりのカフカ (光文社新書)となりのカフカ (光文社新書)
(2004/08/18)
池内 紀

商品詳細を見る