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まだおべつおラジオ

日々小実験

『蝶のゆくえ』を読んでほかのものが読めなくなる

『蝶のゆくえ』橋本治集英社文庫)  高橋源一郎がすごいと言っていた橋本治の短篇集が文庫になったのでさっそく読んだ。 すごい。  特に最初に置かれている『ふらんだーすの犬』。  児童虐待の話を、子供の側から書いている。  救いも何もない話。  徹底的なリアリズム。  たぶん、こういう小説では、救いも何もないことがもっとも重要なことだ。  もしくはタイトルに救いがある、ともいえる。  原作の『フランダースの犬』ではネロ少年は幸せに死んで行くではないか。    全6編の短篇小説はすべて徹底的なリアリズムで書かれている。  どうして作者はここまで人間を理解しているのか。  もしくは理解しているように見えるのか。  おそろしくもなるが、ここまで人間の闇のようなものを徹底的に暴かれるとユーモアにもなる、ということなのだ。  しかし、これは小説というよりはまるで事実そのものみたい。  文章を読んでいるのではなくて、現実をまるうつししたなにかみたい。   これを読んでから、まったくわたしは散文が読めなくなりました。    ところで、巻末に本人の自作解説がある。  自作解説と言っても、じぶんを完全に他人に仕立て上げた文章。  つまりこの小説のように、じぶんの中も徹底的に暴こうとしている。  これはちょっとおもしろい。
蝶のゆくえ (集英社文庫 は 12-5) (集英社文庫 は 12-5)蝶のゆくえ (集英社文庫 は 12-5) (集英社文庫 は 12-5)
(2008/02/20)
橋本 治

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