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『グレート・ギャツビー』を読む

グレート・ギャツビースコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳(中央公論新社)  村上春樹が訳したこの本を買ってから随分たつが、ようやく読み終わった。  たしか新潮文庫で『華麗なるギャツビー』というタイトルで出ているときに読んだ。  もうずっとずっと昔のことだろう。  そのときは途中で筋がごちゃごちゃになってしまい、だけど強引に読んでしまったのであまりよいとも思えなかったように記憶している。  今回は読んで思ったのは、ギリシャ神話みたいだ、ということだった。  登場人物はそれほど多くないし、偶然に支配されている小説だ。  現代小説で偶然を多用するときっと陳腐に思われる。  しかし偶然が何もなければ単なる日常になってしまう。  現代の小説家はその扱いに悩んでいるのだろう。  偶然、と言ってしまうと元も子もないが、むしろこの小説ではそれが運命と呼んでいいものに昇華されている。  運命を扱っているからギリシャ悲劇をどこか思わせる。 「偶然」を「運命」に変えてしまうのが、小説家としてのフィッツジェラルドの才能なのだろう。  それにしても、わたしじしんがギャツビーにどこか影響されているのではないか、とふりかえって気付く。  こんな文章を読むたびに、これは以前にこの小説を読んだから親しく感じるのか、それともむかしから思っていることなのか分からなくなる。
「ねえ、夏至の日ってずっと心待ちにしているのに、毎年いつのまにか終わってると思わない?わたしはいつも夏至の日のことを覚えておかなくちゃと思うんだけど、気がついたらもう過ぎちゃってるのよ」(p29) 「彼女にあまり多くを要求しない方がいいんじゃないかな」と僕は思いきって言ってみた。「過去を再現することなんてできないんだから」 「過去を再現できないって!」、いったい何を言うんだというふうに彼は叫んだ。「できないわけがないじゃないか!」
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